衣服設計支援のための人間感覚データベース
肌着、シャツ、スラックスの評価事例
■ 今回使用した実験用着衣の評価結果は以下の通りでした。
1.今回使用した実験用着衣の種類とその特性
(1)熱・水分移動特性について (2)シャツ・スラックスについて (3)肌着について
2.発汗サーマルマネキンを用いた評価結果
(1)発汗サーマルマネキンについて (2)発汗サーマルマネキン測定条件 (3)測定結果1:無風時の衣服内気候 (4)測定結果2:有風時の衣服内気候 (5)測定結果3:まとめ
3.被験者を用いた評価結果
(1)標準条件での評価結果(シャツ・スラックスの場合) (2)標準条件での評価結果(肌着の場合) (3)風の影響について (4)湿度の影響について (5)運動能力の影響について
4.高齢者と若年者の体温調節能の比較結果
今回は夏服の評価のモデルとして肌着とシャツ・スラックスを3種類の方法で評価した。 評価する対象として物理的な特性(吸湿率、通気度、重量)の異なる素材を肌着用に3種類、シャツ・スラックス用に4種類取り上げた。 まず第1の評価として素材そのものの「熱・水分移動特性」を測定した。 次にその素材を縫製した肌着とシャツ・スラックスを発汗サーマルマネキンで評価した。 3番目の評価方法として肌着とシャツ・スラックスを実際に着用した成人女性で標準温度刺激を加えたときの生理量、感応量を測定した。 肌着については3種類の素材の吸湿率の差が最大で2%であった。 「熱・水分移動特性」の測定ではその違いが結果に反映された。 しかし発汗サーマルマネキン、ヒトでの試験では明確な測定値の差としては現れなかった。 一方、シャツ・スラックスについては素材の吸湿率で10%、また通気度でも10倍違う素材であり、「熱・水分移動特性」ばかりでなく、発汗サーマルマネキン、ヒトでの実験でも評価値に差が現れた。 ここで一つ特徴的なことは素材の物理的測定から予測される「涼しさ」と、製品の着用実験から得られた「涼しさ」が実験条件によっては必ずしも一致しなかった点である。 この結果は衣服の評価は単に物理特性だけで行うのは危険であり、また実験条件の設定が非常に重要であることをしめしている。