グラフの高さ合わせ操作計測
動作特性
−平成10年度 NEDO533人計測−
1.目的
機器や装置の調節操作を想定し、ダイヤル、押しボタン、スライド式のレバーを操作して目標のグラフと高さを合わせるまでの時間計測と、操作のしやすさを調査する。
2. 計測条件
微少調節操作のしやすさを知るため、調節装置のダイヤルやスライド式のレバー、押しボタンを操作して、パソコン画面上のグラフ高さを調節し、同じ画面上に呈示された目標グラフの高さに合わせる操作に要する時間を計測する。
姿勢は椅座位、立位の2種類とし、体の拘束は行わない。また、作業台高さは適正高さ、作業台上の装置設置位置は操作しやすい位置とする。
目標グラフの高さと一致したかどうかの判定は、目標高さとのずれの許容幅(OK幅)内に所定時間(OK判定時間)操作側グラフがとどまったかどうかにより行う。
グラフの高さ合わせ操作の計測条件と項目・内容を表に示す。
表 グラフの高さ合わせ操作の計測条件と項目・内容
姿勢 操作部 OK幅 OK判定時間 立位(拘束なし) ダイヤル 小さい(±1ピクセル) 0.5秒 立位(拘束なし) ダイヤル 中程度(±2ピクセル) 1.0秒 立位(拘束なし) ダイヤル 大きい(±3ピクセル) 1.5秒 立位(拘束なし) スライド式 レバー 小さい(±1ピクセル) 0.5秒 立位(拘束なし) スライド式 レバー 中程度(±2ピクセル) 1.0秒 立位(拘束なし) スライド式 レバー 大きい(±3ピクセル) 1.5秒 立位(拘束なし) 押しボタン 小さい(±1ピクセル) 0.5秒 立位(拘束なし) 押しボタン 中程度(±2ピクセル) 1.0秒 立位(拘束なし) 押しボタン 大きい(±3ピクセル) 1.5秒 座位(拘束なし) ダイヤル 小さい(±1ピクセル) 0.5秒 座位(拘束なし) ダイヤル 中程度(±2ピクセル) 1.0秒 座位(拘束なし) ダイヤル 大きい(±3ピクセル) 1.5秒 座位(拘束なし) スライド式レバー 小さい(±1ピクセル) 0.5秒 座位(拘束なし) スライド式 レバー 中程度(±2ピクセル) 1.0秒 座位(拘束なし) スライド式 レバー 大きい(±3ピクセル) 1.5秒 座位(拘束なし) 押しボタン 小さい(±1ピクセル) 0.5秒 座位(拘束なし) 押しボタン 中程度(±2ピクセル) 1.0秒 座位(拘束なし) 押しボタン 大きい(±3ピクセル) 1.5秒
3.計測装置
調節装置の配置と各操作部位の形状・寸法を下図に示す。
(単位mm)
図 グラフの高さ合わせ操作計測装置(イメージ)
(単位mm)
図 操作部の形状・寸法
制御装置本体:(竹井機器工業西日本販売(株)製)
パソコン:シャープ(株)ノート型パソコン(MN-7760)
画面モード:High Color(16ビット)、1024×768ピクセル
ダイヤル:
形状:径20mmφ、高さ15mm、表面に2mm(W)×10mm(L)×0.5mm(D)の溝付き
制御:右回転でグラフが上昇、左回転でグラフが下降、中央で移動停止。
回転角度とグラフの移動速度の特性を図47に示す。
スライド式レバー:
形状:高さ10mm、後部幅9mm、前端部幅6mm、奥行12mm左右有効スライド幅20mm
制御:右へのスライドでグラフが上昇、左へのスライドでグラフが下降、中央で移動停止。
中央からの移動幅とグラフの移動速度の特性を図48に示す。
押しボタン:
形状:押しボタン径15mmφ、押しストローク3mm、
制御:上部ボタンを押すと上昇、下部ボタンを押すと下降、押さないときは停止。
短時間押すと1ステップ変化する。
押し続けた場合のグラフ移動速度は28mm/秒。
図 ダイヤルの特性
図 スライド式レバーの特性
4.計測方法
(1) 測定手順
測定内容の教示 → 立位での測定 → 座位での測定
(2) 測定内容の教示(例)
・この計測は、ダイヤル、スライド式レバー、押しボタンのどれが操作しやすいのかを知るためのものです。画面に表示されているグラフの高さを調節しながら、目標の高さに合わせていただきます。
・測定した結果は日常使う製品などの設計に使います。時間がかかっても結構ですので、無理をせずに、マイペースでやってください。
・立った状態、座った状態での調節操作が終わる毎に、操作のしやすさをお聞きしますので、5段階評価のどれに相当するかを選んでください。
(5段階評価)
1.やりやすい 2.まあまあやりやすい 3.どちらともいえない 4.少しやりにくい 5.やりにくい
(3) 立位での測定
・作業台を立位適正高さにあわせ、体と作業台が軽く接する位置に立ってもらう。
・操作部が操作しやすい位置に装置全体を移動させる。
・ダイヤル、スライド式レバー、押しボタンで納得するまで練習してもらう。
○測定条件1での計測
・計測モード(変数:操作部種類、OK幅とOK判定時間)をあらかじめ乱数表で決定した測定条件にあわせる。
・スタートボタンを押し、操作部を調節しながら目標グラフの高さに合わせる。合わせ込みが完了すると直ちに次の目標が提示されるので、その目標に合わせる操作をする。6回目の合わせ込みが完了すると、条件1での計測が完了する。
○その他の測定条件での計測
・次の計測モードに合わせ、同様に計測を行う。(以下、同様)
・すべての計測条件での計測が終了したら、ダイヤル、スライド式レバー、押しボタンの操作のしやすさについて評価を聞き、記録する。
・装置に記録されている結果を保存する。
(4) 座位での測定
・椅子の高さを座位身体寸法計測時の「座りやすい座面高さ」に合わせる。
・以下、立位と同様にして計測、操作感の聞き取り、記録の保存を行う。
(5) 終了
・すべての計測が終了していることを確認し、被験者に終了を通知する。