明るさと歩行速度


動作特性 −平成10年度 NEDO20人計測−


 

1.被験者数


  高齢者:12人(60代 3人、70代 5人、80代 4人)

  若年者: 8人(20代 4人、30代 4人)

  80代、20代、30代は男女各2人、60代、70代はいずれも男性が2人

 

2.計測内容


 明るい中を歩いていき照明を消して暗い中を戻ってくる。続いて暗い中を歩いていき、照明をつけて明るい中を戻ってくる。このときの、歩行路の各区間における歩行速度を計測した。なお、暗い時には路面照度1lxの補助照明が歩行路の端の方に設置されている。

 

3.計測結果


 図に明るさ変化空間の移動速度を示す。図中縦軸は移動速度、横軸は移動方向、環境条件、歩行区間を示す。被験者は明るい中をスタートし(2-4,4-9)スイッチを消し暗い中を戻ってくる(9-4,4-2)。次いで暗い中を歩いていき(2-4,4-9)、照明をつけた後、明るい中を戻ってくる(9-4,4-2)。

 なお、この図は一部区間が算出できなかった若年被験者1名、前期高齢被験者(65歳〜74歳)1名、後期高齢者(75歳以上)1名を除いた結果を示している。

 

 

 図に見られるとおり図の中央付近(4-2)で被験者の移動速度がかなり低下している。これは、高齢者からこの付近が一段と暗くなっているため歩きにくいと報告されているように、歩行速度が落ちたことが大きな要因であるといえる。

 この結果から、明かりを背にして暗い方に歩いていくのは非常に歩きにくいが、暗い中でも明かりに向かって歩くときにはスムーズに歩ける。避難路等の設計時には配慮すべき事項であると言える。