前方、上方で立位で手が届く範囲


動作特性 −平成9年度 NEDO20人計測−




1.被験者数:

高齢者12名(60代、70代、80代、男女各2名)
若年者 8名(20代、30代、男女各2名)


2.計測方法

記録面が水平面に対して90゜(体に平行な面)、60゜、30゜傾斜している面、および上限高、適正高、下限高の水平面上で手が楽に届く範囲、少し努力したときに届く範囲を計測した。


3.計測結果


計測結果を図に示す。

グラフの見方
原点:肩峰点を通る垂線が床と交わる点
縦軸:床からの高さ
横軸:前額面(体に平行な面)の図は左右方向、矢状面(体に垂直な面)の図は奥行きを示す。

楽 :無理をせずに手が届く範囲
努力:少し努力して手が届く範囲





高齢者は左右、前後方向の可達域については若年者と同等である(身体寸法の違いにより、実寸法は異なるが、肩峰点の高さに対する比率はほぼ同じ)が、上方の可達域は狭い。

一方、若年者は楽な姿勢の場合、腰を折り曲げたりする割合が高齢者より少ないため、特に前方下部の到達域が高齢者より小さくなっている。

ここには示していないが、人体寸法の肩峰点を中心として腕長を半径として描いた空間を「設備配置の適正範囲」とする考え方が一般的であるが、実際には腕がまっすぐ伸びない、背中や腰が曲がっている、肩が十分回らないなどのため、可達域は狭くなっており、特に上方でその傾向が強いことに留意する必要がある。