手が届く高さと奥行き(可達域)
動作特性
−平成10年度 NEDO533人計測−
1.被験者数:533名(有効データ数は計測項目により若干異なる。)
年代
合計
16〜19
20〜29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70〜79
80〜
合計
533 28
96
95
71
50
82 91 20
男性 259 13 50 40 29 21 48 45 13 女性 274 15 46 55 42 29 34 46 7
2.計測方法
作業台上においた押しボタン装置を操作するときに、これ以上高くなると操作しにくくなる高さ(上限高)、もっとも操作しやすい高さ(適正高)、これ以上低くなると操作しにくくなる高さ(下限高)を、被験者の内観報告をもとに計測した。
3.計測結果(性別、年代別、姿勢別データはデータ集参照)
可達域の計測は空間のどの範囲に指先が届くかを計測することを目的としている。したがって、計測結果の内、上限高さで記録板を傾斜させたときだけでなく、上限高さ・水平の結果や適正高さ、下限高さの結果も用いて検討した。
集計解析時の基準位置は右肩峰点を通る垂線と床面との交点であるため、左利き被験者の計測値は左右を反転して使用した。
計測結果の内、30代および70代女性の立位について、前額面(体に平行値面)、矢状面(体と直交する面)の手が届く範囲を図に示す。この他、各年代の男女別に、立位、座位の可達域も作成したが、それらはデータ集に収録したので参照されたい。
図の原点は作業しやすい範囲とは異なり、空間位置を表現するため、右肩峰点を通る垂線と床面との交点である。全計測点について空間座標を求めることができるが、その中から前額面、矢状面の計測点を用いて可達域を図示している。
前額面の図において、原点より左側の可達域が右側より広くなっている。これは今回の計測では日常生活の状況を計測するという視点から、足位置を固定する以外は体を自由に使ってよいこととしたため、原点より左側の場合、体をねじることにより到達距離が大きくなったためである。
前額面の図にみられるように、30代女性の場合、楽に手が届く範囲は努力して手が届く範囲よりかなり狭いが、70代女性の場合は楽なときも努力したときも手が届く範囲はあまり変わらない。
また、矢状面データでは、30代女性の場合、下限高さに近づくほど、楽に手が届く位置が体に近づいてくるが、努力したときはほとんど近づいてこない。70代女性の場合には楽なときも努力したときも同じ傾向である。これは体を前傾させているかどうかによる結果であり、若年者は楽なときはほとんど体を曲げないが、高齢者は無理のない範囲で曲げていることによる。
ここで示した数値はいずれも指先点の到達位置であり、スイッチ等の位置を検討する際にはそのまま利用できるが、ものを持った場合の適正範囲については、第3指背側長から概略値を推計する必要がある。
また、ここでは実測平均値を示したが、他のデータと組み合わせて活用する場合には、身体の特定寸法に対する比率で示した方が活用しやすいことも考えられる。このような要望に対応できるよう、データ集には第3指背側長や肩峰高も関連情報として掲載した。
(前額面) (矢状面)
図 可達域計測結果の例(立位・女性)
○具体的な使い方の例
データ集の矢状面の図に設備位置を書き込むと、操作部位の適切さがわかりやすい。
70代女性の例として、調理台、吊戸棚と可達域の関係を参考図に示した。図の原点は肩峰点を通る垂線が床と交わる点であり、設備の前端は原点から約200mm離れた位置となる。
この図から、少し努力すると、調理台の奥まで指先が届くが、水栓などを操作する場合の届く範囲は指の長さを引くことになるため、届く範囲がもっと狭くなり、調理台の奥についている水栓は非常に操作しにくいことになる。
なお、吊り戸棚には手が届かない。
図 70代女性の可達域と設備取り付け位置の関係(例)
データ集リスト(希望の項目をクリックすると、結果が表示されます)
姿勢 | 立位 | 立位 | 座位 | 座位 |
性別 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 |
年代 | 全年代 | 全年代 | 全年代 | 全年代 |
16~19 | 16~19 | 16~19 | 16~19 | |
20~29 | 20~29 | 20~29 | 20~29 | |
30~39 | 30~39 | 30~39 | 30~39 | |
40~49 | 40~49 | 40~49 | 40~49 | |
50~59 | 50~59 | 50~59 | 50~59 | |
60~69 | 60~69 | 60~69 | 60~69 | |
70~79 | 70~79 | 70~79 | 70~79 | |
80~ | 80~ | 80~ | 80~ |