振動の感じやすさ


体性感覚 −平成12年度 NEDO20人計測−




1.被験者数

年代 合計 20〜29 30〜39 40〜49 60〜69 70〜79 80〜89
合計 20 4 3 1 3 5 4
男性 10 2 2 0 2 2 2
女性 10 2 1 1 1 3 2


2.計測方法


スピーカーコーンから取り出した振動を用いて前腕上部での振動の感じ方を計測するとともに、振動マッサージ機能つきリクライニング椅子を用いて、肩・腰・太ももの振動の感じ方を調査した。詳細は計測方法(前腕)計測方法(椅子)を参照のこと。


3.計測結果


(1)前腕上部の振動感覚


図に「気がつく振動の強さ」「お知らせに使うとよい振動の強さ」の計測結果を示す。

計測結果の概要を以下に示す。

1)スピーカコーンから振動を取り出す形で作成した装置を計測に使用したため、振動板に加える力により、振動感覚が大きく変化する。また、周波数を高くしたり電圧を上昇させたりすると、スピーカからその周波数の音が出るため、計測に支障をきたす。そこで、振動板を自由振動させたときに近い条件での計測を行うこととし、着衣状態のまま、前腕内側で、もっとも振動を感じやすい状態の特性を計測することとした。

2)計測の結果、振動に気付いたときの強さ、お知らせに使うとよいと思われる強さともに、高齢者の方が若干強めとなっている。


次の図にお知らせに使うとよいと思われる周波数についての結果を示す。

評価結果と従来からの知見との比較を以下に示す。

1)計測の結果、お知らせに使うとよいと評価された周波数は、図に示すように、自由振動させたときの振幅の大きさと一致する結果となった。

2)既往研究によると、皮膚は200Hz付近の振動刺激に敏感で、10〜30Hzの低周波振動では、振動を与える部位の面積が広いほど感受性は低くなるといわれており、今回の計測結果はこれらの結果とは異なっている。

3)計測条件や計測方法の違いによると思われるが、今回の計測でも、振動板の押さえ方等により感じ方が変わることが確認されており、今回の結果は自由振動端子の振動を直接評価した結果である点に留意されたい。


(2)着座状態での身体各部の振動感覚



振動マッサージ機能つきリクライニング椅子を用いて振動に関する評価を計測した。

この椅子の振動の強さは弱、中、強、最強の4段階で切り替えることができるため、それぞれのモードで電圧を変えた時の振幅を振動計で計測しておき、被験者の申告時のモードと電圧に相当する振幅をもとめた。

計測結果を以下の図に示す。

この計測は市販されている椅子を用いたものであり、振動特性が正確に調整できるものではない。したがって、参考情報にとどめるべきであるが、結果の概要を以下に示す。

1)高齢男性は他のグループと比べて、お知らせに適した強さが強く、ばらつきも大きい。

2)振動を感じる強さについてはばらつきが小さく、心地よいという感覚に対応した強さについてはばらつきが大きい。