背景音のもとでの報知音の聴き取りやすさ


聴覚特性−平成12年度実験計測−



1.被験者数


高齢者3名(60代 男女各1名、70代 1名)


2.計測方法


種類の異なる背景音(ホワイトノイズ、ピンクノイズ、-5dB/oct.)を提示しておき、周波数と音圧レベルの異なる刺激音を提示し、それぞれの刺激音の聞き取りやすさを評価した。詳細は計測方法を参照のこと。


3.計測結果


刺激音レベルと背景音の種類によって信号音の聞こえ方がどうなるか計測した結果を以下の図に示す。

図は左から背景音レベルが45dB、55dB、65dB、上から刺激音500Hz、1000Hz、2000Hz、4000Hzの結果を示している。

なお、図のカテゴリー尺度の数値は次の内容を示している。

5 :とてもよく聞こえる
4 :よく聞こえる
3 :聞こえる
2 :ほとんど聞こえない
1 :聞こえない


計測結果の概要を以下に示す。

1)予備的な試験結果であるが、今回の試験結果から、刺激音レベルが小さく、背景音が大きい場合には、ほとんど聞こえない、聞こえないなど、聞こえ方の評価は悪くなることが分かる。

2)信号音の周波数を500Hzにした場合、必ずしも聞こえ方の評価が高くなるとは言えず、背景音の種類によっては影響を受けやすくなる傾向が見られる。

3)現在よく用いられている信号音レベル55dBを例に取り、背景音の種類や背景音レベルが聞きやすさに及ぼす影響を次の図に示した。

図のWhite Noiseと-5dB/octとでは500Hzや4000Hzの報知音について聞きやすさの評価が異なるように、背景音の種類により聞きやすさに及ぼす影響が異なることが分かる。


4)このように信号音の聞こえ方については、背景音との関係が深く、しかも生活行動、とくに安全との関わりが深いことから、今後さらに検討する必要があるといえる。