持ち運びする重さの計測
動作特性
−平成10年度 NEDO20人計測−
1.目的
歩行特性計測に際して、被験者に対し歩行指示を行うと通常とは全く異なる歩様となる。そのため、歩行以外の他の動作を指示し、その課題遂行途中の歩行を計測した。
歩行の代替動作として、持ち運ぶものの重さの測定、および持ち運びしたときの体の負担感の計測を行った。
2.計測装置
(1)歩行路:0.9m×12m、タイルカーペット敷き
(2)履 物:ソックス
(3)距離計測:赤外線レーザーによる非接触計測
(4)着地情報計測:踵に取り付けたスイッチのON/OFFを無線により送受信
(5)歩行姿勢計測:ビデオカメラ
(6)搬送用荷物:写真の容器、かごを使用
計測に使用したかごおよび容器
計測に使用した長手盆および容器
3.計測方法
(1)ものの持ち運び動作として、次の3条件で計測した。
(1)片手でものを持ったとき
(2)両手でものを持ったとき
(3)こぼれやすいものを運ぶときのように慎重な動作が要求されるとき
(2)持ち運びする重さの計測
かごに入れて持ち運ぶ重さは、被験者に次の4条件に相当する生活行為を申告してもらうとともに、それぞれの動作に相当する重さを前記の搬送品を自由に組み合わせて作ってもらい、生活動作、使用された容器の種類と数を記録した。
(1)長時間持ち歩いても全く苦にならない重さ
(2)少し重いが日常的に持ち歩いている重さ
(3)両手で持って全く苦にならない重さ
(4)少し重いが日常的に持ち運んでいる重さ
続いて「持って行ってかごを置いて戻る」「置いたかごを取りに行って戻る」の2往復動作をしてもらい、持ち運んだ感じが当初想定した生活行為の重さと比べてどうであったかについて内観報告を聞き、当初の想定と同じ程度であった場合はその重さを記録した。一方、当初の想定とは異なっている場合、想定した重さに修正してもらい、修正時に入れ換えたり追加、除去した容器の種類と数、修正後の重さを記録した。
(3)荷物を置いた位置の計測
被験者は最初持ち運んだ荷物を歩行路端の台上に置いて戻るが、その置かれた荷物の位置(台前端から荷物の中心部まで)を計測・記録した。なお、片手荷物の載置台高さは800mm、両手荷物の載置台高さは600mmである。
(4)お盆での持ち運び動作の計測
16個の紙コップがなくなるまで繰り返し運んでもらい、運ぶときに留意したこと、持ち運びに伴う負担感について内観報告を得た。なお、容量180mlの紙コップに150mlの水を入れたものを4個準備しておき、持ち運び時には必ず1つは水の入ったコップを混ぜて運ぶよう教示した。
(5)荷物の持ち方の観察記録
ビデオ画像から、片手荷物、両手荷物の持ち方を観察し、パターン分類と出現頻度の解析を行った。