押しボタン操作の計測
動作特性
−平成10年度 NEDO533人計測−
1.目的
日常生活で使用される機器には操作に押しボタンを使用しているものが多い。そこで、押しボタンサイズや取り付けピッチを変えて計測を行い、操作のしやすさやミスの起こりやすさについて調査した。
2.計測項目
ボタンの大きさと取り付けピッチが異なる、8種類の押しボタン装置を用いて、所定時間内の入力回数や誤入力回数を計測する。
姿勢は椅座位、立位の2種類とし、体の拘束は行わない。また、作業台高さは最も作業しやすい高さ、作業台面上の装置設置位置は最も操作しやすい位置とする。
表に計測条件を示す。
表 押しボタン操作の計測項目
姿勢 押しボタンの種類 ボタンサイズ 取り付けピッチ 操作時間 立位(拘束なし) 7-14 7 mm 14 mm 20秒 立位(拘束なし) 7-20 7 mm 20 mm 20秒 立位(拘束なし) 7-30 7 mm 30 mm 20秒 立位(拘束なし) 12-14 12 mm 14 mm 20秒 立位(拘束なし) 12-20 12 mm 20 mm 20秒 立位(拘束なし) 12-30 12 mm 30 mm 20秒 立位(拘束なし) 17-20 17 mm 20 mm 20秒 立位(拘束なし) 20-30 20 mm 30 mm 20秒 座位(拘束なし) 7-14 7 mm 14 mm 20秒 座位(拘束なし) 7-20 7 mm 20 mm 20秒 座位(拘束なし) 7-30 7 mm 30 mm 20秒 座位(拘束なし) 12-14 12 mm 14 mm 20秒 座位(拘束なし) 12-20 12 mm 20 mm 20秒 座位(拘束なし) 12-30 12 mm 30 mm 20秒 座位(拘束なし) 17-20 17 mm 20 mm 20秒 座位(拘束なし) 20-30 20 mm 30 mm 20秒
各押しボタン装置には同じ大きさの押しボタン4個と、それぞれのボタンに対応して発光ダイオードが4個取り付けてある。被験者はスタートボタンを押して、20秒間、発光ダイオードが指示するボタンを次々と押していく。この間の入力数、誤入力数を記録する。
3. 計測装置
次図に押しボタン装置の概略寸法を示す。
(単位mm)
図 押しボタン装置の概略寸法(図番号の左はサイズ、右はピッチを示す)
4. 計測方法
(1) 測定手順
・測定内容の教示 → 立位での測定 → 座位での測定
(2) 測定内容の教示
・この測定は、テレビやステレオ等の押しボタンがどのくらいの大きさであれば使いやすいのか、また、ボタンとボタンの間隔がどのくらいであれば使いやすいのかなどを知るためのものです。赤いランプがついたボタンを次々に押していただきます。時間は20秒間です。
・測定した結果は日常使う製品などの設計に使います。無理をせずに、マイペースでやってください。
・立った状態、座った状態での調節操作が全部終わった後、操作のしやすさをお聞きしますので、5段階評価のどれに相当するかを選んでください。
(5段階評価)
1.やりやすい 2.まあまあやりやすい 3.どちらともいえない 4.少しやりにくい 5.やりにくい
(3) 立位での測定
・作業台を立位適正高さにあわせ、体と作業台が軽く接する位置に立ってもらう。
・操作しやすい位置に装置全体を移動させる。
・納得するまで練習してもらう。
○測定条件1での計測
・あらかじめ乱数表で決定した押しボタン装置をセットする。
・スタートボタンを押し、赤いランプがついたボタンを次々と押す。20秒経過すると終了告知音が提示され、条件1の押しボタン装置での計測が完了する。
・計測が終了後、操作のしやすさについて評価を聞き、記録する。
○その他の測定条件での計測
・次の押しボタン装置をセットし同様に計測を行い、評価を聞き記録する。(以下同様)
・装置に記録されている結果を保存する。
(4) 座位での測定
・椅子の高さを座位身体寸法計測時の「座りやすい座面高さ」に合わせる。
・以下、立位と同様にして計測、操作感の聞き取り、記録の保存を行う。
(5) 終了
・すべての計測が終了していることを確認し、被験者に終了を通知する。