位置感覚の正確さ


体性感覚 −平成12年度 NEDO20人計測−




1.被験者数

年代 合計 20〜29 30〜39 40〜49 60〜69 70〜79 80〜89
合計 20 4 3 1 3 5 4
男性 10 2 2 0 2 2 2
女性 10 2 1 1 1 3 2


2.計測方法


カーテンで手の位置が目で見えないようにしながら、机上面および前額面上の元の位置を正しく押さえることができるかどうかを調査する。詳細は計測方法を参照のこと。


3.計測結果


計測結果を図に示す。

図の実線は目標位置の平均値を結んだ線であり、縦横の棒線はx方向、y方向の標準偏差を示す。目標位置近傍におけるポイントおよび縦横の棒線が試行結果の平均値および標準偏差を示している。

なお、試行は3回行ったが、試行回数の増加によりずれが小さくなるという結果とはならなかったため、全試行に対する平均値と標準偏差を用いた。

計測の結果を以下に示す。

1)若年者であっても位置感覚のずれが大きい被験者が多く、位置感覚については加齢による差というよりむしろ個人差の方が大きいように思われる。

2)体の動きが少ない楽に届く位置と、体の動きが加わる少し努力して届く位置とでの違いも明確には見られず、近い場所であっても誤差の大きい被験者が多かった。

3)若年男性、高齢男性の結果に見られるように、机上面と比べて前額面の正面上方や、肩位置より下では、目標からのずれが大きくなっている。

4)観察結果では、机上面より前額面のずれが大きく、肩より下の方向で、大きくずれる被験者が多かった。また、ミスは距離の間違いより方向の間違いの方が多かった。

5)指定位置を探すときには中空からマークを直接押さえるように教示したが、まず指を記録板の適当な位置に付け、その後、左右に動かしながら目標に向かって伸ばしていく動作をした高齢被験者が2名いた。再度教示したが、これらの被験者は中空からマークを押さえる操作ができなかったため、指が最終的に停止した位置を記録した。

6)この計測に際して、当初、ブラインド操作とするためにアイマスクを使用したが、アイマスクの装着により上体を傾けることができなくなってしまい、動作が全く変わってしまった高齢被験者がいた。そこで、目を塞ぐのではなく、視界をカーテンで遮るように変更してテストを継続した。高齢被験者はわずかな制約により通常動作と全く異なる動作となる可能性があり、計測時に注意が必要である。

7)予備検討の結果、位置感覚は繰り返しにより正確さを増してくることが判明している。今回は被験者の疲労を考慮して繰り返し回数は3回にとどめ、習熟効果がなくなるよう配慮して計測した。実用面ではどの程度の繰り返し回数で正確さが増してくるか、加齢による影響はどの程度かについての評価も重要であると思われ、今後の検討課題の一つである。

机上面(左:若年女性、右:高齢女性)


前額面(左:若年女性、右高齢女性)


机上面(左:若年男性、右:高齢男性)


前額面(左:若年男性、右:高齢男性)