押し操作の計測
体性感覚
−平成12年度 NEDO20人計測−
1.目的
操作に伴う体性感覚には、触覚、圧覚、力覚などが考えられるが、これらは操作装置の形状や作動特性、操作に伴う反力、表示や受付音、クリック感などの入力受付情報、操作時の意識などにより大きく異なり、操作時の感覚を個別に取り出して評価することは困難と思われる。
そこで、実際の操作に伴う総合的な評価を尺度として、どのような装置をどのように操作したときに高い評価が得られるのか、その時には実際の操作時にどの程度の力を加えているのか、あるいは特定の操作課題が与えられたときに、操作の結果として現れる押し力などはどのように変わるかについて調査する。
2.計測装置
(1)押し操作力計測装置
(2)卓上計算器
(3)スイッチ
(4)フォースプレート
3.計測方法
(1)計測手順
作業台高さの調整 → 卓上計算器を用いた計測 → スイッチを用いた計測 → フォースプレートを用いた計測
(2)計測準備
1) 作業面の高さを座位で作業しやすい高さに設定する。
2) 操作状況解析のため、ビデオ撮影を行う。
(3)卓上計算器操作の計測
1) 押し圧力計測装置フォースプレート上にテスト用の卓上計算器をセットするとともに、その計算器に対応した組み合わせの2桁の数値を印刷したカードを作業台上に置く。
2) 被験者に所定位置に座ってもらい、入力作業がしやすいかどうかを確認する。作業しにくい時は作業しやすい高さに作業台を調節し、高さを記録する。
3) 被験者への教示(例)
・この計測は、いろいろな卓上計算器を使っていただいて、操作しやすいかどうかお聞きするものです。
・ここにある2桁の数字の合計を卓上計算器で計算してください。間違えたときは、間違えた数値をクリアして入れ直してください。
・操作が分からないときはお聞きください。
・入力の速さや正確さを競うものではありませんが、最後に答えがいくらになったかをお聞きします。
4) 押し圧力計測装置フォースプレート上に卓上計算器をセットし、計測装置制御ボックスで卓上計算器の重さを引いた値を初期値にするよう、ゼロリセットする。
5) パソコンに計測条件を入力し、計測可能な状態にセットする。
6) カードに印刷した2桁の数値を入力してもらう。
7) 入力の方法は特に指定しない。(めくるカードは10枚)
8) 最初の装置とカードの組み合わせでの計測が終了したら、次の組み合わせで同様の計測を行う。
9) 4種類の組み合わせが完了したら、「きちんと押せたという感じが持てるような方法でもう一度同じように入力してください」と教示し、同様の計測を行う。
10) 合計7回の計測が終了した後、卓上計算器について入力操作のしやすさの順序とその理由、および紙のめくりやすさについての順序とその理由を聴取・記録する。
(4)スイッチを用いた計測
1) 卓上計算器と同様の方法で、押し圧力計測装置フォースプレート上に置いたスイッチセットを用いて計測する。
2) 4種類のスイッチのon-off操作をそれぞれ5回繰り返してもらう。入力の方法は特に指定しない。
3) 計測が終了した後、スイッチについて入力操作のしやすさの順序とその理由を聴取・記録する。
(5)フォースプレートを用いた計測
1) 押しボタン装置と同様の方法で、押し圧力計測装置フォースプレート上を直接押してもらい計測する。
2) 押すときの感じについて、次の教示を行う。
・軽く入り切りできるスイッチを操作するときの感覚で押してください。一回押したら手を離し、再度押してください。これを5回繰り返してください。
・普通にスイッチを操作するときの感覚で押してください。一回押したら手を離し、再度押してください。これを5回繰り返してください。
・普通に押してもスイッチが入らないときなどには、強く押すと思います。このように強くスイッチを操作するときの感覚で押してください。一回押したら手を離し、再度押してください。これを5回繰り返してください。
・手を痛めないようにしながら、できるだけ強く押してください。一回押したら手を離し、再度押してください。これを5回繰り返してください。
3) 4種類の方法での押し操作をそれぞれ5回繰り返してもらう。入力の方法は特に指定しない。
(6) 計測の終了
1) 計測漏れや記入漏れがないことを確認し、被験者に終了を通知し、コメントがあれば聴取、記録する。