データベースの構築とデータの提供

データベースの構築とデータの提供

人間との適合性に優れた製品や生活環境の設計に活用するために、人間特性(形態、動態、知覚、生理、行動、認知)データベースを構築し、企業や研究機関等にそれぞれのニーズに応じたデータを提供しています。

人体計測データベース

人間特性の拡がりを表わす図 HQLでは、1992~1994年に、全国規模で7歳から90歳代の男女約3万4千人の計測を行いました。取得したデータは、身体各部の寸法178項目と全身形状の3次元画像データです。これらのデータは、アパレル、自動車、家電、OA機器、医療機器、眼鏡、家具、住宅などさまざまな産業分野における製品設計や、衣料、靴などのJISサイズ規格改訂のための基礎データとして広く利用されています。

さらに2004年から3カ年計画で第2期人体計測を実施し、約6,700人、1人あたり217項目の寸法と3次元形状の計測を行いました。2007年10月よりデータの提供を開始しています。

動態・知覚特性に関するデータベース

近距離生活視力の身体機能データグラフ

HQLでは、1993年から、姿勢変化や移動動作、作業域・可動域などの動態データ、視覚や聴覚、巧緻性などの身体機能データ、触感覚や温冷感覚などの感覚データの収集・整備を進めています。「高齢者身体機能データベース」・「高齢者対応基盤整備データベース」は日常の生活行為を考慮して計測した、実用的なデータベースです。現在、作業域、巧緻性、姿勢変化、移動動作、視覚、聴覚などについて、20~80歳代の男女数百人の計測結果をホームページで公開しています。

IT利用特性データベース

発話思考法計測風景の写真
IT利用特性データベース(発話思考法計測風景)

HQLでは、2000年度から2001年度にかけて、IT機器設計支援のための高齢者のIT利用特性データを収集しました。このデータは、多機能電話、携帯電話、パソコン、現金自動受払機(ATM)、タイマー付き家電製品など、一定の手順での操作を要求される対話型機器全体を対象とし、これらを使用する際に必要となる知覚、認知、動作等の人間特性を計測したものです。高齢者が無理なく使いこなせるIT機器の設計に利用することができます。

コンピュータ・マネキン

コンピュータで各種の人間特性を再現したシステム図の例
提供:独立行政法人 都市再生機構

コンピュータ・マネキンとはコンピュータの中に各種の人間特性を再現し、CAD(コンピュータによる設計支援システム)で設計された製品や環境との適合性をコンピュータの中で評価するシステムです。HQLでは、1998年に我が国で初めて実用的なコンピュータ・マネキンを開発しました。このシステムは、HQLが保有する3万4千人の人体計測データを3次元の形状として再現し、色々な姿勢をとらせることができます。2001年からは、関節にかかる負荷や、視界を再現する機能などが追加され、「quete」として開発現場で利用されています。

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