高齢者のIT利用特性データベース

認知特性

■ 記憶力実験 短期記憶

■計測目的と計測内容

中若年者と高齢者の記憶力の程度を確認し、どのようなデザイン要素に対して記憶力が影響しているかを明らかにすることを目的に、比較的短時間内での機器操作を想定した記憶に関する実験(短期記憶)を行った。

■計測手順

実験開始画面にスタートボタンが表示される。このボタンを押すと1秒後に画面中央に1個のオブジェクトが0.8秒間表示される。被験者には表示が消えた直後に提示されたオブジェクト名を口頭で答えさせる。被験者の胸元につけた小型マイクで音声を録音する。

■計測条件・環境

表示するオブジェクトは文字(数字・ひらがな・カタカナ・アルファベット)または文字列(3文字・5文字・7文字の単語及び無意味な羅列)であり、試行ごとに異なる。被験者が答えた後、スタートボタンを押すと次のオブジェクトが表示される。このような操作を21回反復する。短期記憶力の評価指標として正答数を用いる。

記憶力_オブジェクト表

■計測結果

記憶文字数が1文字と3文字の場合はどちらも正答率は100%であり、高齢者と若年者の間に差は見られなかったが、5文字になると、高齢者の方が若年者よりも正答率は7%低くなり、7文字の場合は、明らかに高齢者の正答率が若年者よりも低く、その差は14%であった。 個人別の正答率をみると、5文字の場合、正答率のばらつきは高齢者の方が大きいが、7文字になると、若年者の方が大きい。このことは、記憶文字数が多くなるに従って高齢者は平均的に正答率が低下するのに対して、若年者では個人差が大きいことをあらわしている。 高齢者と若年者は5文字までは数字と単語の短期記憶には差は見られなかった。しかし、7文字では単語の方が数字よりも正答率は高かった。特に高齢者の数字の正答率は40%以下であった。また、無意味綴り文字の場合は、5文字と7文字の場合、どちらの被験者の場合も正答率が低かった。特に、高齢者は20%以下の正答率であった。これらのことは、意味のわかる用語を用いることが短期記憶に重要であることを示すものである。

■参考

高齢者のIT利用特性データベース構築等基盤設備整備事業 (抜粋:認知適合性・記憶力)

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