高齢者対応基盤整備データベース
単音節明瞭度
■計測内容
音声の聴き取りを調べる計測として単音節明瞭度試験を行った。日本語の100音節を45dBA(やや小さ目の声)、50dBA(普通の声)、65dBA(大きな声)の3段階の音量で聴いてもらい、どのくらい正確に聴き取れるかを計測した。 また、実際の生活の場では、様々な背景音のある状態で言葉の聴き取りを行っている。そこで、今回の計測では、65dBAで単音節を提示するとともに、60dBA、65dBA、70dBAの3種類の音量で背景音としてピンクノイズを同時に提示し、そのときの音節の聴き取り状況も計測した。
■計測機器
1) 刺激音提示装置
ノート型パソコン: | ヒューレットパッカード製 VECTRA VL400/733DT |
アンプリファイアー: | ローランド製 SRA-2500 |
スピーカー: | 三菱製 DS-1000ZX |
2) 背景音提示装置
DAT: | シャープ製 MN―7700 |
アンプリファイアー: | ローランド製 SRA-2500 |
イコライザ: | ローランド製 EQ-231 |
スピーカー: | 三菱製 DS-1000ZX |
■計測条件
計測用音源:HQL作成の試験用音源
BBC放送女性アナウンサーの読み上げる発生音レベルを調整した100音節を使用。
注)試験用音源の提示レベルの調整については以下の通りである。
単音節明瞭度100音節の被験者受聴位置におけるA特性FAST,maxを測定し、 100音節のエネルギー平均値LPA,Fmax(dB)を次式より求め、刺激音の提示レベルとした。
L1,L2,・・・・・,L100:各音節のA特性FAST,max(dB)
刺激音提示レベルの設定後、このときのピンクノイズのLAeqを測定し、チェックのためにピンクノイズを用いている。
■計測方法
測定手順
(1) 被験者入室前に、ピンクノイズを用いて試験用音源・背景音のレベル調整を行う。
(2) 音量調整後、被験者に入室、着席してもらう。耳の位置がスピーカーから1.5mの 距離で、体の正面になるように椅子の位置を調整する。
(3) 試験用音源の提示パターンは20種類とし、ランダムに提示する。それぞれ、次の計測までには 5分以上の休憩をとる。
計測順 | 提示音 | 背景音 |
---|---|---|
1 | 45dBA | – |
2 | 50dBA | – |
3 | 65dBA | – |
4 | 65dBA | 60dBA |
5 | 65dBA | 65dBA |
6 | 65dBA | 70dBA |
被験者への教示
(1) これから日本語の聴き取りについての計測を行います。
(2) スピーカーから「あ」「ぶ」「にゃ」「ぎゃ」のような一つの言葉が出てきますので、聴こえた通りに記入してください。
(3) 最初に練習をしてみますので、記入用紙の練習欄へ書いてください。
(4) 言葉の出てくる時間はどうでしたか。速いようであればもう少し遅くしますのでおっしゃってください。
■計測結果
計測年:2000年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 30~39 | 40~49 | 50~59 | 60~69 | 70~79 | 80~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 10 | 11 | 10 | 12 | 30 | 29 | 8 | 110 |
女性 | 13 | 9 | 10 | 15 | 29 | 27 | 3 | 106 |
合計 | 23 | 20 | 20 | 27 | 59 | 56 | 11 | 216 |
結果のまとめ:
- 計測結果(1)~(3)に、各年代の条件別にみる正答率の平均値と、20代の正答率を100%としたときの他の年代との比較を示す。70代以上の高齢者では、提示音が45dBA,55dBAのように小さい場合や背景音が70dBAのような大きい場合には正答率は20代の半分以下に落ち、80代以上になると、20代の1/4にまで落ちている。加齢に伴い、提示音・背景音の大きさに強く影響を受けていることがわかる。
- 計測結果(4)に、聴き間違えた音節を年代別に示す。各年代別に聴き間違いの多い順に第1位から5位までを示し、60%以上を網掛けとした。
計測結果:
(1) 年代別正答率(背景音なし)
(2) 年代別正答率(背景音あり)
(3) 年代別正答率(代表的な条件)
(4) 単音節の聞き間違え
背景音なし
背景音あり
■報告書PDF
2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p354-355,362-369,416-417,419