高齢者対応基盤整備データベース
一段ステップ昇降
■計測内容
日常生活では、バスのステップ等のような一段ステップを上り降りすることがよくある。また、生産場面では、工場施設の段差やフォークリフトのような運搬機器や建設機器等の乗降口のステップを上り降りすることが多い。高齢者にとっては、高いステップを上り降りすることは負担の大きい動作であると考えられる。そこで、この計測では、上り降りに負担を感じない段差はどれぐらいの高さであるのかを調べた。
(一段ステップ昇降のイメージ)
■計測機器
1) 一段ステップ | |
900mm(W)×450mm(D)×(H) | 100mm,125mm,150mm,175mm,200mm, 225mm,250mm,275mm,300mm,325mm, 350mm,375mm,400mm(計13パターン) |
2) 手すり
ステンレス製
握り外径:38mm
2) 片手で持つ荷物
ビニール製の袋の中に1kgのおもりを入れたもの
■計測条件
計測条件 | 計測項目 | |
---|---|---|
荷物の有無 | 段差の高さ | |
手に荷物を持たない場合 | 100mm 125mm 150mm 175mm 200mm 225mm 250mm 275mm 300mm 325mm 350mm 375mm 400mm |
・評価(上り) 1:楽に上れる 2:少し努力すれば上れる 3:できるだけ努力すれば上れる 4:上れない ・評価(降り) |
片手に1kgの荷物を持つ場合 |
■計測方法
測定手順
(1) 100~400mmの13種類の高さのステップをランダムに配置する。
(2) 被験者ごとに各ステップの上り降りがランダムに行えるように、予め計測順序を決める。
(3) 手に荷物を持たない状態で、それぞれ「上るとき」,「降りるとき」の負担感について聴取する。
(4) 片手に1kgの荷物を持った状態で、同様に計測を行なう。
被験者への教示
・この計測では、電車やバスの乗り降りのような段差がある場面を想定して、どれぐらいの高さなら楽に上り降りができるのかを調べます。手すりを使っていただいても結構です。
■計測結果
計測年:2001年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 30~39 | 40~49 | 50~59 | 60~69 | 70~79 | 80~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 11 | 9 | 10 | 12 | 34 | 27 | 11 | 114 |
女性 | 12 | 12 | 12 | 16 | 32 | 29 | 6 | 119 |
合計 | 23 | 21 | 22 | 28 | 66 | 56 | 17 | 233 |
結果のまとめ:
- 計測結果(1)~(4)より、男女共、加齢に伴って負担を感じる段差は低くなっている。
- 60歳以上の高齢者にとって負担を感じないのは225mm程度の高さだと思われるが、より負担を軽くするなら200mm程度の高さまでが良いようである。
- なお、1kg程度の荷物でステップを上り降りする際の負担は、荷物を持たない場合とほとんど変わらなかった。
計測結果:
(1) 荷物を持たない場合[上る動作]の負担感 年代別の比較
【縦軸:評価】
1:楽に上れる
2:少し努力すれば上れる
3:できるだけ努力すれば上れる
4:上れない
(2) 荷物を持たない場合[降りる動作]の負担感 年代別の比較
【縦軸:評価】
1:楽に降りられる
2:少し努力すれば降りられる
3:できるだけ努力すれば降りられる
4:降りられない
(3) 荷物1kgを持つ場合[上る動作]の負担感 年代別の比較
【縦軸:評価】
1:楽に上れる
2:少し努力すれば上れる
3:できるだけ努力すれば上れる
4:上れない
(4) 荷物1kgを持つ場合[降りる動作]の負担感 年代別の比較
【縦軸:評価】
1:楽に降りられる
2:少し努力すれば降りられる
3:できるだけ努力すれば降りられる
4:降りられない
■報告書PDF
2001年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p32-34,133-147