高齢者対応基盤整備データベース
ものを持ったときに手が届く範囲(棚)
■計測内容
日常生活を営む上で台所に備え付けられた棚・スーパーの陳列棚・電車の網棚など 様々な場面で腕を伸ばしてものをとる動作、あるいはしゃがんでものを取る動作を頻繁に行っている。この計測ではそのように身近にあふれている棚を想定し、適正な棚の高さを知るために行った。
■計測機器
1) 棚
2本のステンレス製ポールの間にある板が上下に動く市販の棚を使用。
2) 計測用負荷物
片手 | 両手 |
---|---|
|
|
■計測条件
姿勢 | 棚の位置 | 条件 |
---|---|---|
片手 | 上 | 楽に置ける位置 |
少し努力して置ける位置 | ||
できるだけ努力すれば置ける位置 | ||
下 | 楽に置ける位置 | |
少し努力して置ける位置 | ||
できるだけ努力すれば置ける位置 | ||
両手 | 上 | 楽に置ける位置 |
少し努力して置ける位置 | ||
できるだけ努力すれば置ける位置 | ||
下 | 楽に置ける位置 | |
少し努力して置ける位置 | ||
できるだけ努力すれば置ける位置 |
■計測方法
測定手順
計測は、片手での計測→10分間の休憩→両手での計測の順に行う。
〔片手〕
(1) 棚の高さを被験者の腰程度にしておく。
(2) 利き手で円筒の計測用負荷物の一番下を持ってもらう。
(3) 棚の高さを調節し、実際にものを置いてもらう。
(4) 上方向から計測をはじめる。
(5) 「楽に置ける棚の高さ」「少し努力して置ける棚の高さ」「できるだけ努力すれば置ける棚の高さ」の順に計測を行う。
(6) 下方向の計測を行う。
(7) 「楽に置ける棚の高さ」「少し努力して置ける棚の高さ」「できるだけ努力すれば置ける棚の高さ」の順に計測を行う。
〔両手〕
(1) 片手同様に計測を行う。
(2) 必ず取っ手を握ってもらう。
被験者への教示
(1) 日常、棚の上にものを乗せたり、下の方に収納したりするような場合、どのくらいの範囲まで手が届くかを知るために行う計測です。
(2) 計測の最中は身体や足の位置を自由に動かして構いません。
(3) 棚の高さを変えますので、ちょうどいい高さになった時に申告して下さい。
■計測結果
計測年:2000年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 30~39 | 40~49 | 50~59 | 60~69 | 70~79 | 80~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 7 | 11 | 10 | 12 | 28 | 24 | 8 | 100 |
女性 | 10 | 9 | 10 | 14 | 27 | 21 | 4 | 95 |
合計 | 17 | 20 | 20 | 26 | 55 | 45 | 12 | 195 |
結果のまとめ:
- 計測結果(1)(2)より、高齢者がものを置ける棚の高さは、若年者に比べて低くなっている。
- また、上方向に置くときは、「できるだけ努力すれば置ける位置」で年齢とともに低くなり、下に置くときは、「楽に置ける位置」で年齢とともに低くなる。
- さらに、できるだけ努力して上方向に置くときは、高齢者と若年者の間には約30cmの差が生じている(男女、両手片手共通)。
- 例として、「できるだけ努力すれば置ける棚の高さ:男性(上方向)」の片手では、20代の平均が2003mmであるが、その棚の高さには60歳以上の被験者のうち94%もが届くことができない。
- 上肢拳上高に対する比率では高齢者と若年者の間に差が見られない。
※上肢拳上高とは:上肢を挙上したときの、床面から指先点までの高さ。
計測結果:
(1) 片手 計測結果
1) 片手で置ける棚の高さ(年代別平均値)
【凡例】
-△-:できるだけ努力すれば置ける棚の高さ
-○-:少し努力して置ける棚の高さ
-◇-:楽に置ける棚の高さ
2) 片手で置ける棚の高さ/上肢拳上高(年代別平均値)
【凡例】
-△-:できるだけ努力すれば置ける棚の高さ
-○-:少し努力して置ける棚の高さ
-◇-:楽に置ける棚の高さ
(2) 両手 計測結果
1) 両手で置ける棚の高さ(年代別平均値)
【凡例】
-△-:できるだけ努力すれば置ける棚の高さ
-○-:少し努力して置ける棚の高さ
-◇-:楽に置ける棚の高さ
2) 両手で置ける棚の高さ/上肢拳上高(年代別平均値)
【凡例】
-△-:できるだけ努力すれば置ける棚の高さ
-○-:少し努力して置ける棚の高さ
-◇-:楽に置ける棚の高さ
■報告書PDF
2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p27-30,82-106,183-198,217-226