高齢者対応基盤整備データベース
ものを持ったときに手が届く範囲(机上面)
■計測内容
日常生活ではものを単に持つだけでなく、持ったものを置くといった一連の動作を行っている。 この計測では、手にしたものを机の上に置いたり、調理台で鍋を移動させたりする場合に、どの程度まで届くかを知るために行った。
被験者には実際に日常生活で手にしているだろうと思われる重さ・形状のものを台の上で動かしてもらい計測した。なお、片手で握るものは、取っ手のない形状のもの(例:ペットボトル・飲料用のビン等)、両手で握るものは、取っ手のある形状のもの(例:両手鍋・小型のダンボール等)を想定した。
■計測機器
1) 作業台
「作業台高さ計測」で使用した計測装置と同じ構造の台に記録版(1300mm×1940mm)を取り付け、記録板上には到達点をマークするための記録紙を用意する(図を参照)。 |
2) 計測用負荷物
片手 | 両手 |
---|---|
|
|
■計測条件
姿勢 | 体勢 | 条件 | 記録位置 |
---|---|---|---|
座位 | 片手 | 楽に手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° |
少し努力して手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
できるだけ努力すれば手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
両手 | 楽に手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | |
少し努力して手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
できるだけ努力すれば手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
立位 | 片手 | 楽に手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° |
少し努力して手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
できるだけ努力すれば手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
両手 | 楽に手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | |
少し努力して手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° | ||
できるだけ努力すれば手が届く位置 | 0° 30° 60° 90° 120° 150° 180° |
■計測方法
計測は、座位・片手→5分間休憩→座位・両手→5分間休憩→立位・片手→5分間休憩→立位・両手の順に行う。
測定手順
片手 | 片手 | |
---|---|---|
座位 | ・作業台の高さは「作業台高さ計測」で得た座位片手の作業面の高さに合わせる ・椅子の高さは「身体計測」で得た座面高にする ・片手用負荷物は筒の下を持ってもらう ・利き手側の肩峰点が記録紙上の90°の線に合うように座ってもらう ・筒は手元から各条件の位置まで、必ず持ち上げて置いてもらう ・筒を置いた位置にマークし、計測用負荷物を握ったまま手元の位置に戻してもらう |
・「座位・片手」と同様 ・必ず計測用負荷物の取っ手を握る ・記録紙上の90°線が身体の正面にくるように座ってもらう |
立位 | ・「座位・片手」と同様 ・作業台の高さは「作業台高さ計測」で得た立位片手の作業面の高さに合わせる ・利き手側の肩峰点が記録紙上の90°の線と合う位置に立ってもらう |
・「座位・片手」と同様 ・必ず計測用負荷物の取っ手を握ってもらう ・記録紙上の90°線が身体の正面にくるように座ってもらう |
被験者への教示
(1) この計測は、ものを持って机の上に置くような場合に、どのくらいの範囲まで手が届くかということを調べるためのものです。
(2) 立った状態と座った状態で計測を行います。
(3) 手元から、届くところまで置いていただきますが、その際に押したりずらしたりするのではなく、上から置いてください。
(4) 身体は自由に使って頂いて構いませんが、足が置かれている位置は動かさないように注意してください。
■計測結果
計測年:2000年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 70~79 | 合計 |
---|---|---|---|
男性 | 9 | 28 | 37 |
女性 | 13 | 22 | 35 |
合計 | 22 | 50 | 72 |
結果のまとめ:
- 楽に手が届く範囲は、高齢者も若年者もあまり変わらないが、できるだけ努力すれば届く範囲になると高齢者の方が狭くなる。
- 片手のグラフでは全体的に左上がり(特に男性)になっている。つまり、左前方の方が、右前方より遠くに届くことを意味している。これは左前方にものを置くとき自然にからだをねじって置くためと思われる。
計測結果:
(1) 座位:できるだけ努力して手を伸ばした位置(20代と70代の比較)
横軸 = 左右方向,縦軸 = 奥行き,単位 = mm
(2) 立位:できるだけ努力して手を伸ばした位置(20代と70代の比較)
横軸 = 左右方向,縦軸 = 奥行き,単位 = mm
■報告書PDF
2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p27-30,61-81,175-182