グレアの計測


視覚機能 −H9 HQL420人計測−


 

1.目的


グレアとは視野内の高輝度光源により、視覚機能の減退や不快感がもたらされることを言う。

この計測では、グレアによる視覚の減退を対象にした。

日常生活との関わりでは夜間に照明装置の近くにある表示を読みとる場合を想定し、光源の視野内位置により、光源近くの文字がどの程度のコントラストまで読みとれるかの計測を行った。


2.計測条件


この計測では、光源位置と読みとり可能な文字コントラストの計測を行うこととした。

光源の位置は、中心視野(入射角4°)および周辺視野(入射角8°)に相当する二つの位置を選定した。また、視標面の照度は10lxとした。

グレアがあるときだけでなく、グレアなしの計測も加えて、計測条件を表のように設定した。
                      表 グレア計測条件

視距離 グレア光源 視標面照度 視標(ひらがな)のコントラスト 矯正条件
3m なし 10 lx 白背景−文字黒色濃度 100〜10% 生活視力(両眼)
3m 入射角4° 10 lx 白背景−文字黒色濃度 100〜10% 生活視力(両眼)
3m 入射角8° 10 lx 白背景−文字黒色濃度 100〜10% 生活視力(両眼)


3.計測装置


計測室と照明装置の条件は3m視力計測装置と同一(ただし実際の計測は30cm視力計測室で実施)であり、ここでは省略する。

視標としては、黒色濃度を100〜10%まで10%刻みで変化させた10個のひらがな(視力0.15相当)を一つずつパネルに貼付した視標を用いた。また、視標位置を明示するために、視標位置に赤色ダイオードを取り付けた。

グレア光源にはスポットライト(松下電工(株)製NL08100相当品)を使用し、角膜照度が60lxになるよう調光した。

図にグレア計測室の配置を示す。





図 グレア計測室配置図


4.計測方法


(1)測定手順


・2分間の順応 → グレアなしの読みとり濃度測定 → 入射角8゜の測定 → 入射角4゜の測定


(2)グレアなしの読みとり濃度の測定


・視標面照度を10lxにする。
・被験者の位置、使用矯正具を確認する。
・顎台に顎を乗せてもらう。(高さは椅子の高さ調節で行う)
・2分間の順応を兼ねて計測内容の説明を行う。(必ず順応時間を取る)
・視標を視標掲示パネルに取り付け、黒色濃度が濃いものから順にひらがなを読んでいってもらう。(黒色濃度100%で読めないときは照度を10lxずつあげていく。)
・読みとれたひらがなの内、もっとも薄い文字の黒色濃度を記録する。


(3)グレアありの読みとり濃度の測定


・被験者に横を向いてもらう。
・入射角8゜のスポットライトを点灯する。
・顎台の所定の位置(目の位置)に照度計を設置し、角膜照度が60lxになるようスポットライトを調光する。
・視標を取り替える。
・グレア光源を直接見ないように注意しながら床面から視線を上げてもらい、赤いランプ(LED)を手がかりに、被験者にゆっくり視標を見てもらう。
・視標の読みとりができたら順次薄い視標を提示し、読みとれた最後の視標の濃度と視標面照度をデータシートに記入する。
・黒色濃度100%の文字の読みとりができなかった場合は、一旦被験者に横を向いてもらい、視標面照度を10lxあげ、同様の手順で計測する。(読みとりができるまで照度を上げていく。)
・続いて入射角4゜の計測を同様の手順で行う。


(4) 終了


・記録漏れがないことを確認して、被験者に終了を通知する。