高齢者対応基盤整備データベース
モニター監視作業における作業性
■計測内容
現在、生産場面では作業効率・時間節約・人件費削減のために機械化が日々進められ、人間自身の行う作業は生産作業ではなく、監視作業に従事することが多くみられる。この計測では監視作業、とりわけ異常警告情報等の不規則な情報に対する適性(正確性・疲労感)を取り上げて計測を行った。
■計測機器
1) データ処理装置
・本体:NEC PC-9821Na7
・計測項目:反応時間、正誤
数値表示画面に1~10秒までの間でランダムに数字が提示される。
被験者は画面に表示された数字をテンキーで押す。
2) モニター
・30m×30mの窓から数字が提示
3) テンキー
・ロアス株式会社
・型番:TNK-001
■計測条件
・計測条件を以下に示す。
姿勢 | 条件 |
---|---|
座位 | 作業しやすい位置 |
できるだけ努力して手を伸ばした位置 | |
立位 | 作業しやすい位置 |
手が届いて作業できるもっとも高い位置 |
作業時間:3分
■計測方法
計測は、座位→5分間休憩→立位の順に行う。
測定手順
条件 | 測定手順 | |
---|---|---|
座位 | 作業しやすい位置 | ・作業台上の押しやすい位置にテンキーを置いてもらう。 ・3分間作業をしてもらう。 ・計測後にテンキーの位置に関する5段階評価(1:非常に押しにくい 2:まあまあ押しやすい 3:どちらともいえない 4:やや押しにくい 5:非常に押しにくい)を行ってもらう。 ・作業に対する疲れに関する5段階評価(1:楽な作業である 2:まあまあ楽な作業である 3:どちらともいえない 4:やや疲れる作業である 5:非常に疲れる作業である)を行ってもらう。 ・作業をどの程度の時間続けることができるかを聞く。 |
できるだけ努力して 手を伸ばした位置 |
・作業台上のできるだけ努力して手を伸ばした位置にテンキーを置いてもらう。 ・上記同様 |
|
立位 | 作業しやすい位置 | ・壁面の押しやすい位置にテンキーを張ってもらう。 ・上記同様 |
手が届いて作業できる もっとも高い位置 |
・壁面の手が届いて作業できるもっとも高い位置にテンキーを張ってもらう。 ・上記同様 |
被験者への教示
(1) この計測は機器のモニター監視作業をしているときに、モニターに提示される合図に対してどれくらいの速度で反応できるかということと、作業の正確性や疲労度の程度を測るものです。
(2) 画面に1~9までの数字が提示されます。その提示された数字をテンキーで入力してください。
(3) 入力後に数秒たつとまた画面上に数字が提示されますので、提示された数字をテンキーで入力してください。同じ作業をある一定の時間おこないます。
(4) テンキーの位置は作業をしやすい位置に自由に動かしてください。計測が始まると位置は動かせません。(被験者が位置を決定した後にテープで固定する)
(5) 椅子の位置は自由に動かしてください。ただし、計測が始まりましたら、位置の変更はできません。(被験者が位置を決定した後にマジックテープで椅子の後ろをマークする)。
■計測結果
計測年:2000年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 30~39 | 40~49 | 50~59 | 60~69 | 70~79 | 80~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 8 | 11 | 10 | 13 | 30 | 27 | 7 | 106 |
女性 | 12 | 9 | 10 | 15 | 29 | 22 | 4 | 101 |
合計 | 20 | 20 | 20 | 28 | 59 | 49 | 11 | 207 |
結果のまとめ:
- 計測結果(1)より、正答率は加齢に伴う低下は見られず、97%~100%と高い。
- 計測結果(2)より、若年者の反応速度を1とした場合、高齢者の反応速度は1.5倍程度低下する。
- また、反応速度は加齢と共にばらつき具合が広がる傾向が見られる。作業をしやすい位置で誤りをした人の多くは、数字が提示されたとき、反射的にテンキーを押してしまい、その直後に自ら誤りに気がついていたようである。
計測結果:
(1) 正答率
(2) 反応速度
■報告書PDF
2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p27-30,107-117,199-200,217-226