高齢者対応基盤整備データベース
純音聴力レベル
■計測内容
すべての聴覚に関する計測を行う前に、基本特性として個人の純音聴力レベルを測定しておかなければならない。 純音聴力レベルは、オージオメーターを用いてJISに基づいた方法で左右の気導聴力レベルを求めた。 なお、この計測は純音を用いて最小可聴値を調べる検査でもある。
■計測機器
オージオメーター
RION社製 オージオメーターAA73A
■計測条件
・計測条件の組み合わせを以下に記す。
検査耳 | × | 刺激音周波数 |
右耳 | 125Hz | |
250Hz | ||
500Hz | ||
左耳 | 1000Hz | |
2000Hz | ||
4000Hz | ||
8000Hz |
■計測方法
測定手順
(1) 1000Hz、4000Hz、500Hzの音を40dBで提示して、どのような音が出るかを被験者に確認してもらう。このとき、40dBで提示された純音が聞こえない場合は、聴こえるところまで音量を上げていき、その値を記録しておく。
(2) 計測では、通常-10dBから順に音を提示するが、40dBの純音が聴こえないような被験者にとっては、-10dBから提示し始めると、計測時間が長くなってしまうので、負担を軽減するために計測値はあらかじめ記録しておいた値を最小の提示音とする。
(3) 1000Hzから音を提示していく。 各提示音レベルにおいて10秒間純音を提示し、聴こえなければ次の提示音レベルに上げて純音を提示し、聴こえた提示音レベルを記録する。 聴こえなくてもボタンを押す場合も考えられるので、再度提示した提示音レベルや1段階小さい提示音レベルに戻したりしながら、確実に聴こえているかどうかを確認する。
(4) 1000Hz、2000Hz、4000Hz、8000Hzの順に純音を提示していき、次にもう1度1000Hzの計測を行い、差が10dB以下であることを確認する。
(5) その後、500Hz、250Hz、125Hzの計測を順次行う。まず右耳から計測し、次に左耳の計測を同様に行う。
■計測結果
計測年:2000年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 30~39 | 40~49 | 50~59 | 60~69 | 70~79 | 80~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 10 | 11 | 10 | 12 | 30 | 29 | 8 | 110 |
女性 | 13 | 9 | 10 | 15 | 29 | 27 | 3 | 106 |
合計 | 23 | 20 | 20 | 27 | 59 | 56 | 11 | 216 |
結果のまとめ:
- 4分法による年齢別の聴力レベルを図2に示す。4分法の算出方法は次式の通りである。
平均聴力レベル | = | 500Hz測定値 + (2×1000Hz測定値) + 2000Hz測定値 |
4 |
- 図2の曲線は最小2乗法による2次式の近似曲線である。なお、聴力レベルが25dB以下は正常,26~40dBは軽度の難聴,41dB以上は難聴として分類した。難聴については世界保健機構 (WHO) による分類を参考にした。
WHO(世界保健機構)による分類 | |
---|---|
聴力 | 分類 |
~25dB | 正常 |
26dB~40dB | 軽度 |
41dB~55dB | 中度 |
56dB~70dB | 中高度 |
71dB~90dB | 高度 |
91dB~ | 重度 |
- 加齢にともなって全周波数域で聴力レベルが低下する。40代から徐々に低下し、70代以降は急激に低下する。
- 特に2000Hz以上の高い周波数域で大きく低下しており、老人性難聴の特徴がよくあらわれている。また、高齢者になるほど個人差のばらつきが大きくなることがわかる。
計測結果:
被験者数: (2000年度) |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
23 | 20 | 20 | 27 | 59 | 56 | 11 |
図1 年代別平均のグラフ_2000年度
図2 聴力レベル4分法のグラフ_2000年度
図3 年代別(最大、最小、平均値、標準偏差)_2000年度
計測年:2001年度
計測人数:
年代 | 20~29 | 30~39 | 40~49 | 50~59 | 60~69 | 70~79 | 80~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 11 | 9 | 8 | 14 | 34 | 27 | 11 | 114 |
女性 | 10 | 12 | 12 | 16 | 32 | 28 | 6 | 116 |
合計 | 21 | 21 | 20 | 30 | 66 | 55 | 17 | 230 |
※刺激音を聞き取れない被験者が80代で1人いた。
計測結果からは除外している。
結果のまとめ:
- 4分法による年齢別の聴力レベルを図2に示す。4分法の算出方法は次式の通りである。
平均聴力レベル | = | 500Hz測定値 + (2×1000Hz測定値) + 2000Hz測定値 |
4 |
- 図2の曲線は最小2乗法による2次式の近似曲線である。なお、聴力レベルが25dB以下は正常,26~40dBは軽度の難聴,41dB以上は難聴として分類した。難聴については世界保健機構 (WHO) による分類を参考にした。
WHO(世界保健機構)による分類 | |
---|---|
聴力 | 分類 |
~25dB | 正常 |
26dB~40dB | 軽度 |
41dB~55dB | 中度 |
56dB~70dB | 中高度 |
71dB~90dB | 高度 |
91dB~ | 重度 |
- 純音聴力レベルの結果は2000年度の計測結果と同じ傾向が見られる。
- 若年層ではすべての周波数においてほとんど聴力レベルの低下がないが、加齢にともなって全周波数域で聴力レベルが低下する。40代から徐々に聴力レベルは低下し、70代以降は急激に低下する。
- 特に2000Hz以上の高い周波数域で大きく低下しており、老人性難聴の特徴がよくあらわれている。また、高齢者になるほど個人差のばらつきが大きくなることがわかった。
計測結果:
被験者数: (2001年度) |
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
21 | 21 | 20 | 30 | 66 | 55 | 16 |
図1 年代別平均のグラフ_2001年度
図2 聴力レベル4分法のグラフ_2001年度
図3 年代別(最大、最小、平均値、標準偏差)_2001年度
■報告書PDF
2000年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p354-361,415,419
2001年度 高齢者対応基盤整備計画研究開発 第2編データベース整備(動態・視聴覚特性)より抜粋 p364-372,409,411,420