衣服設計支援のための人間感覚データベース
肌着、シャツ、スラックスの評価事例 2.発汗サーマルマネキンを用いた評価結果
(1)発汗サーマルマネキンについて
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(2)発汗サーマルマネキン測定条件
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(3)測定結果1:無風時の衣服内気候
衣服内温度(Δt)は、衣内温度(t)と環境室温度(ta)との差で示した。
衣服内水蒸気圧(ΔV)は、衣内水蒸気圧(V)と無風無発汗時の衣内水蒸気圧(平均)(Va)との差で示した。
無風状態では、中衣に吸湿性の大きいテンセルを着用した時に衣服内温度が高く、吸湿性の小さいエステルでは衣服内温度の上昇は小さい。
また、無風状態の衣服内水蒸気圧(衣服内湿度)は、中衣に吸湿性の大きいテンセルを着用した時に衣服内水蒸気圧が低く、吸湿性の小さいエステルでは衣服内水蒸気圧が高い。
■ 衣服内温度
■ 衣服内蒸気圧(湿度)
(4)測定結果2:有風時の衣服内気候
衣服内温度(Δt)は、衣内温度(t)と環境室温度(ta)との差で示した。
衣服内水蒸気圧(ΔV)は、衣内水蒸気圧(V)と無風無発汗時の衣服内水蒸気圧(平均)(Va)との差で示した。
風による衣服内温度の低下は、衣服内温度は中衣に通気度が小さい綿(通気度小)を着用した時は小さく、通気度が大きくかつ吸湿性のあるテンセルや綿(通気度大)を着用した時には、衣服内温度の低下が大きい。
また、風による衣服内水蒸気圧(衣服内湿度)の低下は中衣の通気度に依存しており、通気度の大きいエステルや綿(通気度大)では衣服内水蒸気圧の低下が大きい。
■ 衣服内温度
■ 衣服内蒸気圧(湿度)
(5)測定結果3:まとめ
内衣の通気度は中衣の通気度に比べて2倍以上なので、衣服内温度への風の影響は中衣の違いによると考えられる。
中衣3(綿・通気度小)の通気度は他の中衣の通気度と比べて1/10程度なので、風による衣服内温度の低下は他の中衣と比べて小さい。
同じ程度の通気度(130~160cc/cm2/sec)である3種の中衣については、吸湿性が衣服内温度に影響しており、吸湿性の大きいテンセルでは風による衣服内温度の低下が大きい。これは衣服素材に吸着した水蒸気が風により蒸発するときの、蒸発潜熱のためと考えられる。
すなわち、衣服内温度への風の影響は通気度が主因子であり、同じ程度の通気度では吸湿性が影響している。
風による衣服内水蒸気圧(湿度)の低下は、中衣の通気度が主因子であり、その吸湿性も影響している。
すなわち、通気度が大きく、吸湿性の小さいエステルでは、風による衣服内水蒸気圧の低下が最も大きい。
また、着用する内衣も影響しており、吸湿性がある内衣A(エステル/キュプラ)は、吸湿性の小さいエステルを内衣に着用したときより、風による衣服内水蒸気圧の低下が小さい。
(これらの結果は、発汗、風とも定常状態になった時を想定している。)
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